助動詞の乱舞

哲学と文学の読書

文学

深沢七郎 「楢山節考」(1956年)

世の中には、これは高貴なテーマを扱った作品なんだ、ということを前面に押し出して書かれた小説がある。 それが悪いと言いたい訳ではないのである。そういう小説で素晴らしいものは幾らでもあるから、それはそれで良い。だが、楢山節考はそんなものとは一見…

アルベール・カミュ 「異邦人」(1942年)

カミュの作品はけっこう泣かせるというか、感動させるものが多い。ペストがそうだし、ヨナ あるいは制作する芸術家なんかもそうだ。カリギュラ、正義の人びとといった作品の同情し難い登場人物たちですら、悲哀と共感を感じさせられる。このカミュの文学の力…

サマセット・モーム 「月と六ペンス」(1919年)

物語の語り手は、作家の「私」だ。「私」が画家のストリックランドの物語を語る構造になっている。 ストリックランドは証券会社に務めるしがない中年男性だった。そのストリックランドが家庭を捨てて出奔する。誰もが浮気して駆け落ちしたのだろうと思い、ス…